渡辺隆建築設計事務所

バランス。 - BLOG

09.08.2009

バランス。

「GA JAPAN」の今回号は、1992年の創刊から数えて100号ということで、「世界から見た日本の現代建築」という記念特集が組まれています。

記念+限定に弱い私は、とりあえずお買い上げ(笑)。

二川幸夫さんと、磯崎新さんをはじめとする有名建築家による対談によって、「1945年」から「今」までの日本建築を、振り返る企画です。ちょっとした世界情勢の年表も付いていますので、世間の流れと日本建築をリンクして考えるには、とても良い資料になりそうですし、何より時代を作ってきた当事者による分析ですので興味深いです(全部読み切るのはかなり大変そうですけど・・・)。

「今」に近い年代の話では、「せんだいメディアテーク」以前と以降という線引きで、「せんだいメディアテーク」に対峙してこれからのケンチクがどんな方向に向いていくのか・・・なんてことも語られています。まさに私たち世代が対峙する問題なのですが、こういうケンチクの尖った部分の話に向き合う時に、いつも悩んでしまうのは、自分自身のスタンス。

「GA」のようなケンチク専門誌や大学の研究室や一部の設計事務所で追い求めているのは、新しい発想や新しい概念や新しい形・・・ケンチクの学問的な側面や芸術的な側面です。私にとっても魅力的で楽しい世界ですけれども、一般ユーザーのみなさんに理解していただいたり、常識的なコストで建設したりするのは、かなり難しいと思われます(自分の才能の問題も大いにアリ(笑))。

そもそも、その分野のケンチクで、「これは美しいですね」とか「オシャレですね」とか言って褒めていただくのも難しい・・・(どこまでが壁でどこまでが床か分からない、ぐにゃぐにゃで見たこともないケンチクが出来上がったとして、そのケンチクが業界で絶賛されても、一般の皆さんに絶賛されるのはかなり難しいことでしょう)。

ケンチク専門者的な美しさと新しさ(欲望?)と、一般ユーザー目線の気持よさと安心感(自制心?)、そのバランスのとり方そのもの(スタンス)が、私たち設計者それぞれの個性になるんでしょうか。

そういう意味では、自分なりのバランスポイントをしっかりと確立して活動していたいと思うのです。

日々修行。。。

本日の音楽:Van Halen [ Balance ] 01 Seventh Seal
私がヴァンヘイレンの新作を聴いていたのはこのアルバムまで。サミーヘイガーがボーカルの時代のロックとポップのバランスが好きでした。受けての好みも千差万別・・・。

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